先生との交換日記
先日、実家の自室を整理していた際、
小学5年生の頃のノートが出てきました。
卒業アルバム・文集以外はほぼ処分していたはず…。
一体何だろう?と思って手に取ると、それは漢字ドリルの書き取りノートでした。
新しく習った漢字を、決められた回数、繰り返し書くというだけの宿題。
大半の小学生からすると、作業的で非常に面倒な宿題だったと思いますが、
僕にとってはそうではありませんでした。
なぜなら、これは僕と先生の交換日記でもあったからです。
当時からインドアで、外でドッヂボールをするよりも絵を描くことが趣味だった僕。
ノートや教科書に落書きをしたり、コピー用紙をホッチキスで留めて、
オリジナルのマンガを描いたりするのが好きでした。
(まったく上手いわけではなく、絵も内容も、ものすご~く拙いのですが。笑)
のちに、その遊びは発展し、
他にも作家を募って、複数の作品を掲載したマンガ雑誌を発刊。
先生に交渉して、その雑誌を教室に置かせてもらい、みんなが読めるように。
読者が感想を書き込んだり、オリジナルキャラを投稿できるコーナーを設けたりなど、
ミニ週刊少年ジャンプごっこのような感じになっていくのですが、それはまた別のお話…。
そんな僕は、漢字の書き取りを終えた後の余白ページに、
毎回、落書きを残して先生に提出していました。
すると、先生が赤ペンで漢字をチェックしたついでに、
その落書きにもコメントをくれるのでした。
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○月×日(水)
僕:
どっちの料理ショー ※当時放送していた料理対決番組
「ヘンに甘いエノキダケ」
「ちょっとすっぱいタケノコ」
どっちか食べるとしたら、先生はどっちですか?
(テーブルに並んだエノキとタケノコを見つめる人々の絵)
先生のコメント:
え~っ。どっちも嫌だけど、エノキダケかなぁ。
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△月□日(金)
僕:
先生の好きな、なべの具はなんですか?
僕は「みずな」です。 ※小学5年生にしては渋い。多分カッコつけたくて背伸びしてます。
(煮立っている鍋の絵)
先生のコメント:
水菜が好きなんて、なかなか大人だね。
先生はカキ(貝のほう)が好きです。
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◎月◇日(月)
僕:
新キャラクターができました!
どうですか?
(ハニワのような顔をした忍者のキャラクターの絵) ※なんだそのコンセプト
先生のコメント:
新キャラクター誕生おめでとう!
先生はけっこう好きだな。
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◆月♪日(月)
僕:
遠足後一発目の提出。
遠足当日の朝に、先生から「今日遠足から戻ってきたら話があるから」と言われ、
僕はてっきり、前日に提出した「ぎょう虫検査※」に、自分だけ引っかかったのだと確信。
※おしりにセロハンをペタッと貼り付け、寄生虫がいないか確かめる、ややハズい検査。
自分の中にはキモい虫がいるんだ…と、
まったく遠足を楽しめないまま戻ってきたところ、
実際は「卒業式で6年生へ手紙を読む係をやってほしい」という話だったため、一安心した。
ほんとにびっくりした。という旨の絵日記。
先生のコメント:
ごめんなさい。読んでいて笑ってしまいました。
引き受けてくれてありがとう!
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…と、読み返してみると、色々と突っ込みどころ満載でした。
こんな変な小学生に絡まれて、先生もさぞ大変だったことでしょう。
とても優しい先生で、僕は大好きだったのですが、
実は僕のクラスの担任を最後に、産休に入られることが決まっていました。
最後の提出に対する、
先生からのコメントには、こんな一文がありました。
「生まれてくる子も、○○君(僕の名前)みたいに、
楽しい絵が描ける子になってくれると嬉しいんだけどね。」
読み返してみて、この言葉が特に嬉しかったことを思い出しました。
だから、このノートだけは取っておいたようです。
I先生、その後お元気でしょうか。
「将来はマンガ家になるぜ!!」と意気込んでいた僕は、
今なぜか人材業界で働いています。笑